【HACCP】食中毒を引き起こす主な細菌、ウイルス、寄生虫について

HACCP
安全な料理の提供には、衛生管理がとても重要になります。

【HACCP】食中毒を引き起こす要因=危害要因について知っておきましょう

2018年日本食品衛生協会発行の「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書テキスト」の中に、食中毒を引き起こす原因になる物質についてまとめたページがあります。

これらは実際に発生件数が多いものなので、小規模な一般飲食店事業者さんにとっては、注意しなければならないものばかりです。

食中毒防止の基本は(原因になるものを食品に)「つけない」「ふやさない」「やっつける」ですが、原因物質の特性を知り、効果的にそれらを行うことが衛生管理を確実なものにします。

ことに、ご自身の店舗でどういった食材を扱っているのか、どういう調理動線であるから注意ポイントはなにか、ということを確認して、十分な対処方法を決めておくことが、HACCP導入のための大きな一歩になるはずです。

以下、それぞれの原因物質について、まとめと補足をしてみました。

1.ノロウイルス

ウイルスの特徴:人が運んでくるケースが多い。
ウイルスがほんのちょっとでも食中毒の原因になる。
低温でも、乾燥した場所でも長く感染力をもつ。

塩素系消毒薬が有効(アルコールが効きにくい

原因食品:二枚貝、人から汚染されたあらゆる食品

対策:
調理する人の健康管理(下痢等消化器官の症状のある人は調理させない)
衛生的な手洗いを確実に行う
トイレの清掃、消毒、お客様への手洗いの呼びかけ
嘔吐物の適切な処理(食品衛生管理者研修等で学習した通り)
ノロウイルスが心配な食品は中心温度85℃〜90℃で90秒間の加熱

※人から人への感染が多い。
※一度発生すると患者が多くなる傾向
※ウイルスが小さいので、手のしわや溝に入り込むため入念な手洗いが必要

2.カンピロバクター

細菌の特徴:動物の腸管に存在する→食肉工場で生肉(主に鶏肉)に汚染が起こる
微量でも食中毒を起こす
乾燥や加熱に弱い

原因食品:加熱不十分な鶏肉や鶏肉の生食、生の鶏肉から二次汚染された食品

対策:加熱不十分な鶏肉を食べない。
食肉は中心部まで十分な加熱をする(75℃ 1分以上)
食肉を扱った調理器具や手指はそのつど洗浄、消毒、よく乾燥させる。
生肉を調理するときに、他の加熱しない食材に触れないように注意する。
※鶏刺しや唐揚げの加熱不足などで起きうる

3.腸管出血性大腸菌(O-157など)

細菌の特徴:出血性大腸炎などを引き起こすベロ毒素を産生する細菌
牛などの腸管内に生息。乾燥に強い。加熱に弱い。
微量でも食中毒を起こす。

原因食品:ハンバーグなどの食肉の加熱不足。
生肉からの二次汚染のあった加熱しない食品

対策:食肉は中心部までよく加熱(75℃で1分以上)
食肉にふれた手指や調理器具は都度洗浄、消毒する。
食肉が他の食品に触れないよう保管や調理の際に注意する。
生野菜はよく洗う。必要ならば殺菌、加熱しての喫食とする。
調理従事者の体調管理
※毒性が強いので、発生した場合に重篤な健康被害が起こりうる。

4.サルモネラ属菌

細菌の特徴:動物の腸管内や自然界に広く生息する。
加熱に弱い
近年減少している

原因食品:鶏卵とその加工品、食肉とその加工品

対策:卵、食肉の低温保管
卵の割り置きは絶対しない。即調理する。
食材の中心部の加熱(75℃1分以上)
卵や食肉にふれた手指や調理器具は都度洗浄、消毒する。
※最近は卵の流通が改善されて減ってきたが、楽観視はできない

細菌の特徴:動物の腸管内や自然界に広く生息する。
加熱に弱い
近年減少している

原因食品:

鶏卵とその加工品、食肉とその加工品

対策:卵、食肉の低音保管
卵の割り置きは絶対しない。即調理する。
食材の中心部の加熱(75℃1分以上)
卵や食肉にふれた手指や調理器具は都度洗浄、消毒する。
※最近は卵の流通が改善されて減ってきたが、楽観視はできない

5.ウェルシュ菌

細菌の特徴:自然界に広く分布。人や動物の腸管にも生息。
食中毒を起こす芽胞は熱に強い
酸素を嫌う。

原因食品:大量調理されたカレー、シチュー、煮物、スープなど

対策:食品中で増えることを防ぐため、前日調理や室温放置を避ける。
どうしても前日等に調理する場合は、直ちに小分けし短時間で急速冷却。低温保存。あるいは60℃以上の高温で保存する。
提供直前に100℃15分間の十分な加熱で芽胞を殺菌する。

※カレーなど作り置きすることも多いが、その際の管理によっては食中毒の危険もありうる。
※熱に強いので、最終加熱が甘いと食中毒が防げない。食味を損なう可能性もあるので、とにかく増やさないことが肝要

6.黄色ブドウ球菌

細菌の特徴:人や動物の皮膚や鼻腔、喉の粘膜などに普通に存在する常在菌。傷などに化膿菌としても存在する。
加熱に弱いが、熱では壊れないエンテロトキシンという毒素を産生する。
原因食品:手指からの汚染。おにぎり、弁当、調理パン、菓子類など

対策:手指に切り傷や化膿した傷がある人は、食品に直接触れずに、耐水性の絆創膏をつけた上から手袋を着用する。
手指の洗浄、消毒を十分に行う
調理にあたっては帽子やマスクを着用。
食品は10℃以下で保存して菌を増やさないようにする。
※人間の常在菌であるので、食品につけないことに注意する。
※調理の際につく可能性があり、毒素は熱で壊れないので加熱調理で最終的にやっつけることができない。

7.ヒスタミン

化学物質の特徴:魚肉のアミノ酸の一種ヒスチジンが、ヒスタミン産生菌の酵素で生成されてできる物質
ヒスタミン産生菌は、海洋にいるものと、人や動物の腸管内にいるものがある。
一度生成したヒスタミンは加熱調理しても分解しない

原因食品:マグロ、ブリ、さんま、カツオなどの赤身魚とその加工品

対策:ヒスタミン産生菌が増えることでヒスタミンが生成されるので、ヒスタミン生成菌が増えないよう魚を室温で放置などせず、10℃以下で保管する。
解凍する場合も常温解凍はさけ、冷蔵庫で解凍する。
調理過程で菌をつけない(ヒスタミン産生菌はエラや内臓に多く存在するので、速やかに内蔵を取り除き、魚を洗って菌を減らす)
調理加工時の室温を高くならないようにする。
ヒスタミンコントロールを行っている業者から魚を購入する。
※化学物質による食中毒だが、原因物質をつくるのが菌であるため、菌をふやさないことが肝心。

8.アニサキス

寄生虫の特徴:半透明色で2〜3cm、幅0.5〜1mmのひも状の寄生虫。
海産魚類やイカの内蔵や筋肉に寄生する。

原因食品:寄生された魚類などの生食あるいは未加熱加工品

対策:冷凍(-20℃24時間以上)あるいは加熱(60℃1分間 70℃瞬時)で死滅。食中毒は起こさなくなる。
新鮮なうちに内蔵を除去して低温保管。
目視で見つかった場合は速やかに取り除く
醤油、酢、わさびでは死なない。

「数枚の書類を書いたらいいんだよね?」
確かにそうかもしれません。
ですが、導入がただの手間になるか、確かな衛生管理になるかは理解があるかどうかにかかってきます。きちんとした理解に基づく衛生管理にHACCPの考え方を活用していきましょう!

書類作成、ご説明、セミナーなど承ります。
厚労省、農水省主催の説明会など開催されていますが、日時が決められていて参加が難しい事業者さまには、ご説明に上がることも可能です。ご相談ください。ご説明後に導入のお手伝いをさせていただく場合には全体のご報酬からご説明の費用を引かせていただきます。

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