HACCPで行うべきシンプルな4つのこと

HACCP に沿った衛生管理 とは

HACCP に沿った衛生管理の制度化に関するQ&A(平 成 3 0 年 8 月 3 1 日 作 成( 最 終 改 正 : 令和2 年 6 月 1 日 )によると、

これから食品を扱う事業者は

  1. 衛生管理計画を作成し、食品等取扱者や関係者に周知徹底を図ること
  2. 公衆衛生上必要な措置を適切に行うための手順書を必要に応じて作成すること
  3. 衛生管理の実施状況を記録し、保存すること
  4. 衛生管理計画及び手順書の効果を検証し、必要に応じてその内容を見直すこと

を行っていくことが求められるとあります。
これが、今回の法改正で義務化された「HACCP に沿った衛生管理」になります。

HACCP に沿った衛生管理のなかには、

  • HACCPに基づく衛生管理
  • HACCPの考え方を取り入れた衛生管理

のふたつのカテゴリーがあります。

それぞれ、対象となる業者が決められているのですが、
HACCPの考え方を取り入れた衛生管理は主に小規模営業者対象、HACCPに基づく衛生管理は、それ以上の事業者と、一部のより重要な管理が求められる事業者になります。

それでは、このふたつのカテゴリが含まれる「HACCP に沿った衛生管理」について説明していきましょう。

①衛生管理計画を作成し、食品等取扱者や関係者に周知徹底を図ること、とは

衛生管理計画、というととても難しそうに聞こえますので、やることを分解しましょう。
順番に5つに分けてお話しますと、

  1. これまで各自が各自の方法でやってきた衛生管理を再確認し
  2. それぞれの事業者が使う原材料、製造・調理の工程等にあった衛生管理となるよう計画を作り直し
  3. 毎日記録し続け
  4. 記録を保存し、一定期間ごとに検証し
  5. さらにその検証結果をもとにさらに良いものにできるよう見直しを繰り返す

ということになります。

具体的な手順としては、

  1. 今までやってきたことを改めて確認して、一度まとめます
  2. それぞれの事業者団体が作成し、厚生労働省が内容を確認した手引書を確認します
  3. それにより、絶対的に衛生管理をしなければならないポイントを洗い出して、1.でまとめたものと照らし合わせながら衛生管理マニュアルにまとめます
  4. 一般的な衛生管理を主体としつつ、温度管理や手洗い等の手順を定めます
  5. それらの手順が実際にできたかどうかを記録する記録用紙の様式を定めます
  6. やりやすく続けやすい形で記録を行います
  7. そののち、一定期間ごとに検証と、衛生管理マニュアルの改訂を行います

そして最後に、これらが必要不可欠であることを、調理担当者のみならず、食品製造や提供に関わる従業員や関係者全員が理解し実行できるように、研修などで周知してください。

②公衆衛生上必要な措置を適切に行うための手順書を必要に応じて作成すること、とは

厚生労働省のHPに、食品等事業者団体が作成した業種別手引書がまとめてあるページがあります。

食品等事業者団体が作成した業種別手引書

(自分の事業が「HACCPに基づく衛生管理」「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」のどちらを導入するのかは、このページを見てもわかりやすいかもしれません)

扱う食品ごとの手引書に、「設備や従事者の衛生管理」「材料や納品時の受け入れに関する衛生管理」「食品の製造や保存・保管についての衛生管理」など、食品を製造して販売、あるいは提供するまでのそれぞれの工程についての衛生に留意した手順を作成するよう記載があります。

つまり、衛生管理についてのマニュアルを作成する、ということになります。

マニュアルには、「必ず実行しないとならない衛生管理」を記載することになるのですが、ここは「きちんと効果があって」「実際に実行できる」衛生管理をマニュアル化してください。

それぞれの工程で、いつ、どんなときに、だれが、どのように衛生管理をするのかが文書化されていること。これが「衛生管理の見える化」です。

③衛生管理の実施状況を記録し、保存すること、とは

マニュアルで策定した手順が確実に実施できているかどうかを、毎日記録用紙に記載します。これは記載忘れがないよう、記載しやすい用紙や様式にすることも重要です。できていることを「できた」と記載することも大事なのですが、「できなかった場合」の記載もとても大事になります。

「できなかった場合」や「NGケース」は、実際にどんなNGがおこったのか、どうしてそれができなかったのかをきちんと記載してください。この記録用紙は保存することも含めてHACCPなのです。というのは、次にお話する検証は記録の保存ができていなければ不可能だからなのです。

④衛生管理計画及び手順書の効果を検証し、必要に応じてその内容を見直すこと、とは

衛生管理計画の記録用紙は、規程の期間が過ぎたら必ず見直します。実行できる衛生管理計画をつくっているはずなのですが、やはり完璧にできることばかりではないはずです。その際のNGケースや記載についてのミスを検証して、どうしてそういうことが起きてしまったのか、起こさないためにはどうしたらいいのかを考え、検証してください。それにより、より実現性の高い衛生管理計画及び手順書に改定することで、食品安全を高いレベルで実行し続けることがHACCPの目的だからです。

もちろん、あってはならないことなのですが、なんらかの食品事故や食中毒が起こってしまった場合には、状況の検証にこの記録が効力を持つでしょう。

まとめ

HACCPで行わななくてはならないことは、高価な食品衛生機器を購入することでも、厨房の大改装を行うことでもありません。

もちろんそれが必要とされるのならそうすべきですが、それが必要なのかどうかも含めて、食品製造や提供において、食品衛生について危険がある箇所をまずチェックします。そしてその部分で食中毒を起こさない方法を科学的なデータをもとに決めてマニュアル化。マニュアルに沿った記録をして保存。一定期間ののちに確認と検証を行い、もっとよいやり方があれば、それを反映させたマニュアルに改定して、また記録をしていく・・・といったサイクルを実行していくことが、HACCP に沿った衛生管理において行うべきことなのです。

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